永住許可の要件が厳しくなる?2026年ガイドライン改定案の5つのポイントと今できる準備
「永住許可の要件が厳しくなるって本当ですか?」
7月の報道以降、このご質問を本当にたくさんいただくようになりました。
そして2026年8月4日、ついに出入国在留管理庁から「永住許可に関するガイドライン」の改定案が正式に公表され、意見公募(パブリックコメント)が始まりました。これまで報道でしか分からなかった内容が、原文で確認できるようになったのです。
この記事では、改定案のポイントを5つに整理して、「いつから変わるのか」「今できる準備は何か」まで、できるだけやさしくお伝えします。
この記事のまとめ
・2026年8月4日、永住許可ガイドラインの改定案が公表され、9月4日締切で意見公募中
・年収・年金・日本語能力・子どもの就学など、審査の考慮要素が大幅に増える案
・配偶者の特例は「婚姻3年・在留1年」から「婚姻5年・在留3年」へ引上げの案
・適用は原則2027年4月以降の申請から。ただし収入に関する項目は、すでに申請中の案件にも及ぶ可能性
・あくまで「案」の段階。ただし、現行の要件を満たしている方は早めの検討をおすすめします
2026年8月4日に何が公表されたの?
出入国在留管理庁は8月4日、永住許可の審査基準を示す「永住許可に関するガイドライン」の改定案を公表し、あわせて意見公募(パブリックコメント)を開始しました。締切は2026年9月4日で、e-Govから誰でも意見を提出できます。
現行のガイドラインは1ページほどのシンプルな文書ですが、改定案は13ページ・6章構成へと大きく拡充されています。それだけ、審査で見られるポイントが具体的に、そして厳しくなるということです。
大切なのは、これはまだ「改定案」の段階だということ。意見公募を経て内容が変わる可能性もあります。ただ、方向性を知って早めに準備しておくことには大きな意味があります。
改定案の5つのポイント
① 年収:「日本人世帯の平均を上回る水準」が求められる案
これまでのガイドラインには、具体的な年収の基準は書かれていませんでした。改定案では、世帯単位で、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に「継続して」達しているかが考慮要素になるとされています。
気をつけたいのは「世帯人数」の数え方です。海外にお住まいのご家族を扶養に入れている場合、そのご家族も世帯人数に加算される一方で、そのご家族の収入を合算することはできない、という仕組みになる可能性があります。母国のご両親を扶養されている方は、影響が出やすいところです。
なお、「いくら必要なのか」という具体的な金額は公表されていません。現時点で「〇〇万円あれば大丈夫」と言える人は誰もいませんので、断定的な情報にはご注意くださいね。
② 年金:将来の受給見込額もチェックされる案
これまでの審査では「年金保険料をきちんと納めてきたか」という過去の実績が見られていましたが、改定案では将来いくら年金を受け取れる見込みかという視点が加わります。
目安とされるのは、平均を上回る年収で厚生年金に30年間加入していた場合の受給額。ご本人が実際に30年加入している必要があるわけではなく、あくまで「ものさし」としての基準ですが、国民年金のみの期間が長い方や、扶養に入っていた期間が長い方は不利になりやすい設計です。不足する場合は、預貯金などの金融資産で補える案になっていますが、必要額はまだ示されていません。
③ 日本語能力:B1相当以上が考慮要素に
報道で「自立した言語使用者」と伝えられていた日本語能力は、改定案の原文では「日本語教育の参照枠」のB1相当レベル以上と明記されました。仕事や生活の身近な話題について理解し、自分の考えを説明できる水準のイメージです。
どの試験でどう証明するのかはまだ決まっていません。また、日本で初等・中等教育を6年以上受けた方や高度人材の方など、日本語能力を考慮しない例外も設けられる案です。
④ 生活ルールの理解・お子さまの就学も考慮対象に
日本の制度やルールへの理解度(「生活・就労ガイドブック」の内容が中心)や、義務教育年齢のお子さまが小学校・中学校に通っているかどうかも、新たに考慮要素として挙げられています。確認の方法はまだ示されていませんが、ガイドブック自体は入管庁のサイトで多言語公開されていますので、目を通しておくだけでも準備になります。
⑤ 配偶者の特例:「婚姻5年・在留3年」への引上げ案
日本人・永住者の配偶者の方には、原則10年の在留要件を大幅に短縮する特例があります。現行は「実体を伴った婚姻生活3年以上+日本での在留1年以上」ですが、改定案ではこれが「婚姻5年以上+在留3年以上」に引き上げられます。お子さま(実子等)も「1年以上」から「3年以上」へ変わる案です。
配偶者ビザの方にとっては、申請できるタイミングが実質2年遅くなる大きな変更です。
いつから適用されるの?
改定案では、適用時期が項目によって分かれています。
| 項目 | 適用時期(案) |
|---|---|
| 年金・日本語能力・制度理解・子の就学・配偶者特例の引上げ など | 2027年4月1日以降の申請から |
| 収入・公共の負担に関する項目 | 改定日の6か月前以降の申請で、改定日時点で審査中の案件にも適用の可能性 |
特に注意が必要なのが2つ目です。改定日は2026年10月頃と見込まれており、その場合、2026年4月頃以降に申請して、まだ結果が出ていない方にも、収入に関する新しい考え方が及ぶ可能性があります。永住審査は現在、実際には10か月前後かかることも多いため、影響を受ける方は少なくないと考えられます。
あわせて知っておきたい:申請手数料も大きく変わります
ガイドラインとは別に、永住許可の手数料を現在の1万円から20万円に引き上げる政令案も示されています。こちらは2026年10月1日以降に受け付けられる申請から適用される方針です(手数料は許可時の納付なので、不許可の場合の負担はありません)。要件と費用の両方が、この秋を境に大きく変わろうとしています。
今できる準備は?
1.現行の要件を満たしているなら、早めに検討を
配偶者特例(婚姻3年・在留1年)や年金・日本語などの新しい項目は、2027年4月以降の申請から適用される案です。すでに現行の要件を満たしている方は、それより前に申請することで、現行の基準で審査を受けられる可能性があります。手数料の面でも、2026年9月末までの申請なら1万円のままと見込まれます。
2.年金記録を確認しておく
「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、ご自身の加入状況と将来の見込額を確認しておきましょう。未納期間の追納や、配偶者の第3号被保険者の届出漏れの確認は、時間がかかる手続きです。早めの着手が安心です。
3.税金・年金・保険料は「期限内」に納める
これは今回の改定を待つまでもなく、現在の審査でもっとも重視されているポイントです。あとから納めても、期限に遅れた記録は消えません。口座振替の設定など、遅れない仕組みを作っておくことをおすすめします。
4.焦って準備不足のまま申請しない
一方で、「値上げ前に急いで出そう」と要件が整わないまま申請するのはおすすめできません。もし不許可になると、再申請は新しい要件と20万円の手数料のもとで行うことになる可能性があります。「急ぐべきか」より先に「今、出せる状態か」の見極めが大切です。
おわりに
今回の改定案は、永住を目指す方にとって決して小さくない変化です。ただ、内容はまだ確定しておらず、金額や証明方法など、分からないことも多く残されています。不確かな情報に振り回されず、正式な発表を確認しながら、今できる準備を一つずつ進めていきましょう。
「自分の場合はどうなるの?」「今申請したほうがいいの?」——そう感じた方は、どうぞお一人で悩まずにご相談ください。福岡の女性行政書士が、あなたの状況を丁寧にお伺いして、いちばん良いタイミングと進め方を一緒に考えます。
※本記事は2026年8月5日時点の情報に基づいています。本文中の改定案・政令案の内容は意見公募中のものであり、正式決定により変わる可能性があります。
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