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【行政書士が徹底解説】日本版ESTA「JESTA(ジェスタ)」とは?2028年度導入の電子渡航認証制度の仕組みと企業への影響

2026年3月10日、政府は出入国管理及び難民認定法(入管法)などの改正案を閣議決定しました。この改正案には、当事務所のブログでも以前取り上げた「在留手続手数料の大幅な引き上げ(永住許可の上限30万円など)」とともに、電子渡航認証制度「JESTA(Japan Electronic System for Travel Authorization)」の創設という極めて重要な内容が盛り込まれています。

アメリカへ渡航する際の「ESTA(エスタ)」に馴染みがある方も多いと思いますが、ついに日本でも同様の事前審査システムが導入されることになります。本記事では、ビザ専門の行政書士が、新たに導入される「JESTA」の概要から、導入の背景、現行のVisit Japan Webとの違い、そして外国人を日本に招へいする企業への影響まで、2000文字以上の完全ガイドとして徹底解説します。

第1章:日本版ESTA「JESTA」とは何か?

「JESTA(ジェスタ)」とは、日本へビザ(査証)なしで入国できる国・地域からの渡航者に対し、**日本へ出発する前にオンラインで渡航情報を申告させ、事前に入国の可否を審査する制度**です。アメリカの「ESTA」、韓国の「K-ETA」、カナダの「eTA」、そして欧州で導入予定の「ETIAS」と同様の仕組みであり、いわゆる「事前入国審査」の役割を果たします。

【JESTAの対象となる外国人】

JESTAの申請が義務付けられるのは、主に以下の外国人です。

①ビザ免除対象の74カ国・地域からの短期滞在者(観光、商用、親族訪問などの目的)。

②クルーズ船旅客(指定旅客船に乗船し、観光目的で日本に上陸を希望する外国人)。

③乗り継ぎ旅客(船舶等の乗り継ぎのため一時的に日本に入国する外国人の一部)。

※すでに中長期の「就労ビザ」や「配偶者ビザ」を持っている在留外国人や、そもそも入国にビザ取得が必要な国(中国やフィリピンなど)からの渡航者は対象外です。

第2章:なぜ今、JESTAが導入されるのか?(3つの背景)

これまで、ビザ免除国の外国人は、航空券さえ買えば事前の審査なしで日本へ渡航し、到着時の空港で初めて入国審査を受けることができました。しかし、この仕組みを見直す背景には以下の3つの理由があります。

① 不法滞在・テロリスクの未然防止(水際対策の強化)

日本国内の不法滞在者のうち、約6割がビザ免除国からの渡航者であるとされています。観光目的と偽って入国し、そのまま不法就労を企図するケースが後を絶ちません。一度入国してしまった外国人を退去強制(強制送還)させるためには多大な労力と国家費用がかかるため、「日本に到着する前(搭乗前)」にハイリスクな人物をブロックする防波堤が必要とされていました。

② 入国審査待ち時間の解消(審査の迅速化)

出入国在留管理庁の発表によれば、2025年の外国人新規入国者数は過去最高の約3,918万人に達し、そのうち観光等を目的とする短期滞在者は約3,846万人を占めました。急増するインバウンド客により、空港での上陸審査の待ち時間が長時間化していることが大きな課題となっており、JESTAによる事前審査で現場の負担を軽減する狙いがあります。

③ 難民認定制度の濫用抑止

難民認定の申請中であることを利用して日本に滞在し続ける事例への対策としても、出入国審査の段階で疑義のある渡航者を早期に排除する仕組みが期待されています。

第3章:導入後の「新しい入国フロー」と航空会社の義務

JESTAが導入されると、ビザ免除国からの外国人の入国手続きは以下のように劇的に変わります。

1.事前申請

渡航前に、オンラインで氏名、パスポート番号、渡航目的、宿泊先、職業、犯罪歴などを申告し、手数料を支払って認証を受けます。

2.【重要】運送業者(航空会社・船会社)の報告義務

 航空会社等は、チケット発行時に予約者の情報を出入国在留管理庁に報告する義務が課されます。

3.入国可否の通知と搭乗拒否

入管から「入国が不適当」と通知された場合、航空会社はその外国人を航空機に乗せてはならず(搭乗拒否義務)、これに違反すると過料の制裁が科されます。

4.到着時の簡素化

 事前認証を受けて日本に到着した旅行者は、パスポートへの上陸許可証印(スタンプ)が省略され、ウォークスルー型ゲートを活用した迅速な審査でスムーズに入国できるようになります。

 第4章:間違いやすい!「Visit Japan Web」との違い

「すでにVisit Japan Webがあるのに、何が違うの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

現在運用されている「Visit Japan Web」は、税関申告や検疫、入国審査の情報を事前に入力しておくことで、「到着後の手続きをスムーズにするための任意ツール」に過ぎません。

一方、「JESTA」は、入国そのものの可否を事前に判断する**「厳格な審査制度」**です。Visit Japan Webに入力しなくても日本行きの飛行機には乗れますが、JESTAの認証がなければ、そもそも飛行機に搭乗することすらできなくなります。

 第5章:企業への影響と今後のスケジュール

JESTAは、観光客だけでなく「海外の取引先を商談で日本に呼ぶ」「海外支社の社員を短期出張で呼ぶ」といったビジネスシーンにも直結します。

制度開始後は、ビザ免除国のビジネスパートナーであっても、「日本行きのチケットを取る前に、必ずJESTAを申請して認証を受けてください」と事前にアナウンスする社内フローの構築が必要不可欠となります。

【今後のスケジュール】

今回の入管法改正案は、今の国会での成立を目指しています。法案成立後、JESTAシステムの運用開始は「2028年度中(2029年3月31日まで)」を目標として準備が進められます。なお、在留資格の更新手数料等の大幅値上げ(永住30万円、更新10万円の上限引き上げ)については、先行して2027年3月31日までに施行される予定です。

まとめ:厳格化する日本の出入国管理体制

JESTAの導入や手数料の大幅値上げに見られるように、日本の入国・在留管理政策は「悪質な外国人の排除(厳格化)」と「適正な外国人の受け入れ(迅速化)」の二極化へ大きく舵を切っています。

制度の開始は2028年度中と少し先ですが、海外とのビジネス往来が多い企業におかれましては、今後の政令で定められる詳細な申請方法や手数料額の動向に引き続き注視していく必要があります。

「外国人の短期出張の手続きがよくわからない」「在留資格の更新手数料値上げへの対策を考えたい」といったお悩みがございましたら、最新の法改正に精通した当行政書士事務所まで、ぜひお早めにご相談ください。

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著者
特定行政書士 森本 智恵子
SEED行政書士事務所
福岡市中央区

福岡市中央区を拠点に、数多くの外国人の方々の「日本で暮らしたい」という夢をサポートしています。ビザ申請は、単なる書類作成ではありません。お客様お一人おひとりの人生の節目に立ち会う仕事だと考え、親身かつ迅速な対応を信条としています。
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